鶴岡の食文化を紡ぐ人々

No.001  〜外内島きゅうり〜 

外内島きゅうり栽培農家 上野武さん

鶴岡市外内島(とのじま)地区で栽培されている外内島きゅうり。
鶴岡の在来作物の一つで、今では数えるくらいの農家さんしか栽培されていないそうですが、その昔、鶴岡では、きゅうりと言えば「外内島きゅうり」というくらいポピュラーな食べ物だったそうです。
5月23日、気持ちよく晴れた日、上野さんのお宅にお邪魔しました。
お約束の際の「この時期、農家は忙しい」とのお言葉のとおり、ご自宅わきの作業場でほうれん草の出荷作業の真っ最中。お忙しい合間をぬって、取材に応じてくださいました。
 上野さんの外内島きゅうりの記憶は小学高学年までさかのぼります。おつきあいはかれこれ65年!
ずっと繰り返すことは大変なんだよと笑っておられました。

一般的なきゅうりと比べ、外内島きゅうりは、暑さや病気に弱く、収量も低く、また味も独特な苦みがあるため、次第に栽培されることが少なくなり、とうとう上野さんのお宅ただ1軒だけ栽培されるまでになったそうです。
その上野さんも今から7-8年前、翌年の栽培はやめようと決意されました。
 
ところがその年、地元の漬物屋さんが外内島きゅうりで漬物を作りたいとの申し出があったことから、現在では上野さんも含めて3軒の農家で契約栽培されています。
 
風が強い庄内で、竹で支えながら高さ3m近くまで育てるため、風の影響を受けやすく倒れやすいこともあり、昨年は不作でした 。

「採算が合わないからね、なかなか育ててくれる農家さんが増えないんだよね。」
 
映画「よみがえりのレシピ」など数々のメディアで紹介される機会が多い上野さん、少しでも外内島きゅうりを栽培して下さる農家さんが増えればとの想いを持たれています。
栽培を続けていくにはいろんなご苦労があることを話してくださいましたが、続けていく理由は何処にあるのでしょう?
 
「在来作物が無くなること(栽培をやめること)は、地域の食文化が消えることだと江頭先生(山形大学農学部准教授、在来作物研究会会長)に言われたんだ。」
 

あまり販売されていない外内島きゅうりですが、年配の方々には思い出の味らしく、おすそ分けするととても喜んでくださるそうです。
 
外内島きゅうりのおすすめの食べ方は、地元産のもずくと合わせたなます!
地元産のしっかりとした歯ごたえのもずくときゅうりはとても相性がいいそうです。
 
「旬のものには旬のものを合わせるんだ」
 
外内島きゅうりを知り尽くされた上野さんのお話は本当においしそう。
今年の夏、ぜひチャレンジしてみたいものです。

  
*****
後日、上野さんが小学3年生の総合学習の時間にご指導されるということで、斎小学校に伺いました。小学校でのご指導は今年で4年目になるそうです。

この日は、5月始めに種まきしたきゅうり苗を校庭の畑へ移植する日です。
苗はちょうど植え頃の時期。
 
校庭のすみにある畑の土は、少し団子状。
その土を素手で丁寧にほぐしながら子供たちの移植作業を手伝っている上野さん。

子供たちは土にふれ、(土の塊が)グミみたーい、ミミズがいる!と歓声をあげつつも、上野さんのお話に真剣に耳を傾けていました。

外内島きゅうり食べたことある? と聞くと、あると答えてくれたのは半分くらいの子供たち。 鶴岡市内にもなかなか出回らない外内島きゅうりを育て、食べられる子供たちは、ちょっとうらやましい気もします。
スーパーに行けばなんでも買える時代の子供たちに、種から作物を育て、作物から種を採る、地元にある昔ながらのものづくりを体験してもらいたいとおっしゃっていた上野さん。
 
この授業を通して子供たちは何を学びとってくれるのでしょうか?


斎小学校での上野さんご指導の様子(動画)↓

外内島きゅうり

ただのきゅうりではありません。
驚くほどみずみずしく、そして苦みがある味わい深い外内島きゅうり。
実の根本部分の方が、苦みが強いです。
でも、すべての実が苦いわけではなく、個体差があるようです。
食べてみないと分からない。
市内でもなかなか見かけませんが、見かけたらぜひ一度お試しあれ。
収穫時期
6月から7月末
買えるところ つけもの処 本長
TEL:0235-33-2023

産直 もえん
TEL/FAX:0235-29-7005

産直 のぞみ

TEL:0235-35-1477

おすすめの食べ方

外内島きゅうりと地元産もずくの
酢の物(なます)

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