鶴岡の食文化を紡ぐ人々

No.008 〜寒鱈〜
 
萬龍丸船長 飛塚裕実さん(鼠ヶ関)

鶴岡人の冬のごっつお寒鱈汁.
主役は、その名のとおり寒鱈(「かんだら」と呼ぶ。マダラ)。
鼠ヶ関地区の底引き網の漁師さんのもとを訪ねました。

雪が降ったり止んだりを繰り返し、風のない穏やかな1月7日。
海は凪となり、今年に入って2回目の漁を終えた萬龍丸船長の飛塚裕実さんからお話を伺いました。
この日は朝4時に出港し、午後2時半に帰港。鱈は時期が早いため獲れなかったものの、タイが大漁だったそうです。

 

飛塚さんは、現在51歳。20歳の時から5年間のマグロ漁を経て、25歳の時から鼠ヶ関で萬龍丸(発動機船)に乗り、26年間底引き網漁をされています。


寒鱈の旬はまさにこれから

寒鱈漁の時期は、1月2月の2か月間で漁に出られるのは良い時でわずか20日程度。
気候や海の状態がよいと午前4時から午後4時まで12時間海に出ています。漁場までの行き帰りに4時間。漁場では底引き網を7-8回仕掛け、漁をします。

 

船の乗組員は、飛塚さんを合わせて3人。鼠ヶ関の発動機船はだいたい3人体制です。

 1月20日ごろに最盛期を迎える寒鱈は、これからますます白子や子(卵)が大きくなり、水温が低くなるにしたがっておいしくなっていきます。
9月から12月には、沖合の漁場(港から船で片道6時間)で獲れていた鱈も鱈場(たらば)と呼ばれる大陸棚に移動し、産卵に備えるのです。



最初の順番が大事だなや

寒鱈漁が行われる鱈場のなかでも寒鱈が集中している箇所があります
早い者勝ちで漁場を決めていくかと思いきや、鼠ヶ関では、寒鱈漁を行う14艘で取り決めをし、3班編成で漁の場を輪番制にしているそうです。

このシステムは、漁場を争って時化の日や夜遅くに漁に出ることが考えられるため、漁師の安全性を配慮してのことです。


輪番制の最初の順番は班の代表者によるじゃんけんで決まります。
代表者は、毎年若い漁師が担当することが多いようです。公平に日によって漁場が変わっていくとはいえ、最初の順番によって獲れる船と獲れない船で大きく左右することもあるのです。

 

「最初の順番決めがけっこう大事。酒の席でじゃんけんをやったのは誰だと話題になる」
笑いながらおっしゃっていました。

寒鱈のおいしさの秘密

寒鱈は傷みやすい魚なので鮮度保持のため、飛塚さんは獲った鱈の脊髄を包丁で切り、血抜き(活き締め)をしています。
活きている寒鱈を血抜きすることで、身や白子に血が回らず、鮮度を保ち、真っ白な白子や身となります。

 

また、箱詰めは通常、港に戻ってからのお母さん方(女性たち)の仕事ですが、寒鱈は人の手で触る度になれる(痛む)ため、船の上で計量し、約10キロずつ計量して箱詰めの作業をし、市場に出すまで一切触れないように心掛けているのです。

 

萬龍丸で獲れた寒鱈は、上のシールがつけられます。
活き締めされた寒鱈は、鮮度が長く保たれることから、市場でも高く取引されているそうです。


鱈は面白いぜぇ。鱈がぼんっと浮かんできて、海が白くなる。それが魅力だなや。

飛塚さんは、年間を通して様々な魚を獲られますが、この時期から本格化する寒鱈漁が一番面白いそうです。
「鱈は面白いぜぇ。(網を引き揚げると)鱈がぼんっと浮かんできて、海が白くなる。それが魅力だなや。年に1回か2回あればいいほうだけどな。」

 

昨年は、寒鱈がほとんど獲れませんでした。冬の日本海は波が荒く、1-2月の頃に出港できる凪の日が片手で数えられるくらいのこともしばしばですが、鱈場に鱈がいなかったのは、26年間の漁師生活で初めてのことだったそうです。
その後4月には爆弾低気圧が発達し、海の温度が高くなり、他の魚も採れなくなり、散々な年だったそう。

 

「沖合であまり鱈が取れなかったから今年はとれるかな(少ないかな)」
「今年は少し早い時期に鱈場に鱈が来ているから、感触がいい気がする(多くとれるかも)」
「まだ早いから分からない 」

飛塚さんは逡巡します。
鶴岡の人々が心待ちにしている寒鱈ですが、長年漁師を続けている飛塚さんでも、今年の寒鱈漁の出来はまだ予測がつかないようです。
けれど、今年にかける期待は大きいのです。



飛塚さんの願いを伺いました。
「魚離れが進んでいるだろー。お母さんにはもっと子供に魚を食わせてほしいなぁ。魚をもっとおいしいっていっぱい食べてもらいたい。鮮度よく運ぶよう努力しているからさぁ。 」

 

石油が高くなり、燃料費のみならず、網やロープなど経費がかさみ、けれど飛塚さんが手にする魚の値段は20年前とほぼ変わらないため、経営は厳しいそうです。

 

6年前、息子さんが自ら漁師になりたいと船に乗られたお話になると、ぱっと明るいお顔になったのが印象的でした。


漁師さんには「分け魚」という習慣があり、漁を終えるとまかないとして魚が乗組員に配られます。寒鱈漁の時期は、ほぼ寒鱈しか獲れないので、漁に出る度に寒鱈を持ち帰ることになるのです。
飛塚さんのお宅では、寒鱈汁はもちろん、ムニエル、昆布締めのお刺身、煮つけ、塩焼き、グラタンなど様々な寒鱈料理が食卓に日々並びます。

 

上の写真は、取材の際に寒鱈汁を飛塚さんとともにいただいたときの写真です。
さらりとした寒鱈汁ですが、寒鱈のだしが濃厚でとてもおいしかったです。
ただ、飛塚さんは、「船の上で生きた寒鱈で作る寒鱈汁は最高においしい」ともおっしゃってました。

寒鱈(かんだら)

漁師さん曰く「ぎにぎにとして、がに(カニ)のよう!」
10kgを超える寒鱈は、魚とおもえぬしっかりした弾力の身をもち、その味は格別です。
旬を迎える寒鱈の腹には、白子も子もたっぷり。
基本的に脂がのったオスが高値で販売されていますが、10kgを超える寒鱈は、メスもオスも変わらずおいしいそうですよ。

収穫時期

1月から2月半ば

買えるところ  鶴岡市内の魚屋、スーパーでお買い求め下さい。
本文にあるシールが目印です。

おすすめの食べ方

捨てるところはほとんどないと言われる寒鱈。
大きな魚ですが、飛塚さんは1匹そのまま買っていろんな部位を楽しんでほしいそうです。魚屋さんに頼めば、食べやすいサイズにさばいてくれるそうです。
調理はなるべく新鮮なうちに、保存は冷凍庫で。


飛塚さんのおすすめの食べ方はやはり寒鱈汁。
ポイントは、活き締めした寒鱈と特注の麹がたっぷりはいった造り味噌です。


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