鶴岡の食文化を紡ぐ人々

No.014 〜メロン〜
 
ワッツ・ワッツ・ファーム 代表 佐藤公一さん(西郷地区)

美味しいメロンの季節が始まりました。広大な砂丘地に恵まれた西郷地区では栽培が盛んに行われ、夏場はあちこちに路地販売のお店が出現し、採れたてのメロンを手に入れることができます。今回はメロン栽培に取り組まれている元気な農家さんの畑に伺いました。
長雨が続く7月12日、佐藤公一さんの畑を訪れました。
公一さんは現在39歳、農家歴は8年になります。

「農家になる気なんてなかった」と口にする公一さんは、お祖母さんの葬儀で戻った際、ご両親の年老いた姿から「やばい、なんか俺やんねーとまずい気がする」と焦燥感に駆られたそうです。
これを機に帰郷し、約2年間、会社員と両立しながらの農家を経て、農業は片手間ではできないとの思いから会社を辞め、6年前から専業農家をされています。

ワッツ・ワッツ・ファームの名前の由来は庄内弁の「わっつわっつ」から。これは、がつがつとか勢いのよい様を示す言葉で、一生懸命、はりきっての思いを込めて名づけられました。
このファームでは、主に公一さんとご両親の3人でアンデスメロン、ミニトマト、ほうれん草、人参、長芋、ベビーリーフなど、年間を通して野菜を栽培されています。

メロン栽培は、早期に収穫できるハウス栽培と、露地栽培の2通りが行われています。
3月1日のハウス内の種まきから始まり、4月1日に植えかえ、芽かきや摘果をして7月1日に収穫するサイクルで、時期をずらしながら、9サイクルの栽培が行われています。

消費者の求めているものに寄り添う農家でありたい

左の写真は、ハウス内のミニトマトの剪定作業中の公一さんです。(この日は雨でしたが、ハウス内での作業を黙々とこなされていました)

「農家は消費者に寄り添っていかねばのう」
との考えから、公一さんはお店の周り、自分の商品を含め、パッケージや価格など、どんなふうに店頭で売られているか確認されているそうです。

「農家は良い作物を作ることだけにこだわってしまいがちだが、消費者がどんなものが求められているのかを考えて、知る努力をしていきたい」

農家であるとともに経営者としても一人前でありたい、そのためにも勉強していかなければとの強い思いを持っています。
仲卸業者の方と公一さんの二人きりで始めた勉強会は、いつの間にか参加者が増え、今では若手農家の方を中心に登録者が50名にもなり、庄内若手農家ネットワークを組織し、公一さんは会長を務めています。

最近はいつもどおりの野菜を作るのが難しい

農家になって大変なことは?と尋ねると、
「全部大変!」と笑って応じながらも、
「近年続く異常気象に植物の栽培をどう合わせるか、いつもどおりのメロンを栽培するために管理していくことがとても難しいのう。」とのお答えが返ってきました。

この時期、鶴岡は、土砂災害警報が出るほどの大雨が続き、メロン栽培にも苦慮されていることが伺えました。

食卓で会話が弾むようなおいしい野菜を作りたい

なんでも明快なお答えが返ってくる公一さんは、今後どんな夢を持たれているのでしょうか。

「夢か?いくつかあるけど・・・・。また今度ね。」
と言葉を濁されてしまいましたが、しばらくして、
「食卓で会話が弾むようなおいしい野菜を作り続けていくことかな」とぽつり。

取材を通して感じたのは、食べる人をとことんイメージして、勉強を重ね、農家として経営者としてありたいという公一さんのまっすぐな信念でした。

メロン

鶴岡の夏の果実といえばメロン。
「箱入りのメロンは、まず箱から出して、日が当たらなくて、家族みんなが目にできる場所において、メロンが熟す過程も楽しんでほしい。」
公一さんの願いです。
保存は常温で、メロンのおしりに弾力が出てくると食べごろです。
食べる2ー3時間前に冷やすのがおすすめだそうですが、お好みの食べ方を研究して欲しいともおしゃっていました。
収穫時期

7月上旬から8月上旬
買えるところ  ワッツ・ワッツ・ファーム

おすすめの食べ方

お酒好きな公一さんのおすすめは、メロンを半分にして、辛口のシャンパンをいれて食べることだそうです。プチセレブ気分で召し上がれ。写真は炭酸水で割ったものです。まさにメロンソーダ!

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