鶴岡の食文化を紡ぐ人々

No.035 〜わらび〜
 
大平高原わらび園 阿部馨さん、難波庄一さん、阿部勝さん

4月中旬、町にはもう春が来ているのですが、山はまだブナの葉が芽吹きだしたばかりで、肌に寒さを感じながら大平の公民館へ取材に出かけ、わらび園の管理をしている阿部馨さん、難波庄一さん、阿部勝さんの3名にお話をお聞きしました。

左から阿部勝さん、阿部馨さん、難波庄一さん

この日は、雪解けも間もなくというところであったため、わらび園は行けないということでした。大平高原わらび園は、鶴岡市の市街地から約1時間、朝日地域の下田沢大平の山の中にあります。



わらび採りをする大勢の人々

大平地区は現在10世帯が、ほとんどは春は山菜、夏は田んぼや畑仕事、秋はきのこ採り、専業や兼業で生活しています。
大平高原わらび園は、平成11年からの県の補助事業で、元々桑畑だった土地を活用して整備が始まりました。平成13年からは観光わらび園として本格的に動き始め、開園は5月初旬から6月末と短期ではありますが、開園当初から特に庄内の中でも藤島や三川などの平野部から毎年300名を超える方がわらび採りを楽しみに来るそうです。

山に囲まれた小さな集落・大平

「わらびの取れる場所は庄内にもたくさんあっげど、大平ほど場所もいぐて質がいいわらびが採れるところはネ、とお客さんは言っでくいるノ。」

今回お話をしてくださった3名がそれぞれの話にうんうんと納得しながらお話ししてくれました。大平の集落の中でも3世帯が協力しながら整備をしている大平わらび園は、阿部馨さん、難波庄一さん、阿部勝さんとそれぞれの家族が、草刈りや肥料まき、広報などを毎年実施して運営しています。



ログハウス風の管理等

「こごのわらび園のいいどごは、やっぱり眺めの良さど歩きやすい緩斜面だなやの、元が桑畑だったさげ急でないし、ちょうどいいくらい汗かいて、休める場所もあるし最高だ。」


 

わらび園は、南向きの斜面に摩耶山が一望できるロケーションがすばらしいです。また、休憩所も完備したログハウス風の管理棟に広い駐車場と、設備もしっかりしており、お客様を迎える体制はばっちり整っています。見渡せるので、親子連れにも向いているのではないでしょうか。


わらび園から見た摩耶山

「一度人の手が入った所は、管理しないと維持されない。元桑畑は日当たりがいいので、“日陰のわらび”がいいと昔から言われていることもあって、心配しだナや。でも、植物だし、大きくなるにはやっぱり日光が大事で、そうすると安定して収量も見込める。山間の寒暖の差があるところだから、良いわらびが育ったナや。」
質のいいわらびを求めて、シーズンに何度も足を運んでくれる人もいるというから、大平のわらびの良さを知ってしまうと、他には行けない、と言うことなのかもしれません。
「天神祭に来たお客さんに出したぐて、と採りに来るお客さんもいるんだや。」
当然だけれど、大平は春が来るのが町と比べると少し遅いのだけれど、だからこそ、というお話ですね。


収穫から調理までを楽しむ山菜

“わらび”と聞くと、一緒に頭に浮かぶのがあく抜きのことです。わらびのあく抜きは、慣れてしまえば簡単なのだけど、はじめのうちは好みの硬さに至るまで、試行錯誤を必要とします。あく抜きがちょっと勇気がいるんですよ、と話をすると、「そういうところも、山菜の楽しいところだ、自分のさじ加減を楽しめる。そこも楽しんでほしい。グループで来て、あとでからそれぞれのあく抜きしたわらびの食べ比べしても面白いど思いますよ。」と馨さん。自分で採って、調理して、食べる。食の楽しみの醍醐味はそこにあります。しかも採るときのロケーションが最高ならこの上ないことです。そんな贅沢を仲間と共有できる場所が、こんな身近にあることが嬉しいです。

大平自慢のわらび

5月になると、「採りごろのわらびが、“クキを長~くして”お待ちしています!」とのことなので、山の春を満喫しにぜひ多くの方に足を運んでみてほしいと思います。



途中の道路から望む鳥海山と日本海

(文:稲田瑛乃  撮影:阿部馨氏他)

大平高原わらび園

開園時期

5月中旬~6月

曜日・
時間

水・土・日

9:00~正午

(予約が必要です。)


入園料

大人  1,800円
中学生1,200円
小学生以下無料

 

※利用時間内に収穫した5kgまでのわらび代金が含まれます。
※収穫したわらびの重量が5kgを超えた場合、超えた量の超過料金をいただきます。
※小学生が収穫したわらびは、付き添いの方の収穫量に加算します。

申込み・
問合わせ
鶴岡市役所朝日庁舎産業課
電話0235-53-2111

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