鶴岡の食文化を紡ぐ人々
No.065 由良アナゴ
甚盛丸 田村 伊佐男さん
由良アナゴ 甚盛丸 田村 伊佐男さん
由良アナゴの正体は・・・
この「由良アナゴ」はアナゴといっても正式名称を「キタクロヌタウナギ」といい、アナゴではなく、味・食感もアナゴには似ていません。ぶつ切りにして焼くとコリコリとした食感と弾力、皮目の香ばしさにこってりとしたコクのある旨味で栄養価も高く、7~9月頃にしか味わえない庄内の希少な夏のスタミナ食としても人気があります。
キタクロウナギ
朝日浴びサングラス姿の田村さん
漁は、筒に餌を入れ、30m間隔に縄で100個ほど連結し、海に沈めます。餌は、カツオやサバを1筒に1切れ入れます。餌をサンマやアジでも行ったことがあるそうですが、餌を食べた「由良アナゴ」に細い骨が残ると食べ辛いことがわかりました。さらに「由良アナゴ」は餌でアナゴの色が変わり、赤い魚と白身の魚のときとアナゴの色違うのだと田村さんは教えてくれました。
漁に使う筒や縄
天日干しされる由良アナゴ
天日干しされる由良アナゴ
堀旅館のご主人と
甚盛丸
鮮魚店に並ぶ由良アナゴ
後日、市内の鮮魚店に「由良アナゴ」が並んでいました。「好きな人は好きで入荷すると喜んで買っていくなやの」とお店がおっしゃっていました。
(令和2年8月31日取材 文・写真 俵谷敦子)
由良アナゴ(キタクロウナギ)
由良でとれる「由良アナゴ」は秋田県近海で獲れる「棒アナゴ」と一緒で、これまで「クロヌタウナギ」だと思われてきましたが、平成31年3月31日付の研究論文で「キタクロウナギ」であると発表されています。
体長は30~50cm。顎も骨もなく、厳密にいえば魚類ではありません。深海に生息しているため眼は退化しているが、獲物を感知すると周りの海水を一瞬にして粘性にし、敵の身動きが取れなくなったところを捕食するという変わった性質を持っています。