鶴岡の食文化を紡ぐ人々

No.021 〜軟白ねぎ〜
 
軟白ねぎ農家(長ねぎ専門部長)伊藤鉄矢さん(西郷地区)

大寒を過ぎたとはいえ、時折雪が降り寒い日が続く鶴岡です。とかく厄介者扱いされることが多い雪ですが、この雪も野菜をおいしくする要素です。近年、地元で知名度が高まり、さらに関東圏で大人気となっている軟白ねぎ農家さんのハウスを訪ねました。

「まず食べてみれ」と差し出されたのは1本のねぎ。1口かぶりつくと、甘い。伊藤鉄也さんと目が合って、
「1口2口目は甘いんだ。ただかじってると、俺はねぎだっていう辛みが出て来るろ?」
と笑顔。私は後から強烈にくる辛みをかみしめて涙。
この辛みは加熱するととっても甘くなって、子供にも食べやすいと好評です。
 
知名度が高まる軟白ねぎは、収穫期を迎えて取材がひっきりなし。長ねぎ専門部長の鉄也さんは対応に大忙しです。
11年前、先輩に誘われたことがきっかけで軟白ねぎ栽培を始め、出稼ぎに行かず地元で1年中農業ができるようになりました。ねぎ栽培を始めて以来、鉄也さんは風邪をひかなくなったそうです。





2月24日のハウスの様子です。あられがハウスにあたってパラパラと音を立てます。例年ならハウスを覆うほどの雪も今年は大分少ないようです。



軟白ねぎの栽培法

 軟白ねぎの栽培には5月から12月までの7ヶ月もかかります。栽培方法は以下のとおり。
冬にねぎを育てると甘くなるとともに、ねぎが固くなってしまいます。
伊藤さん曰く「ねぎが土にストレスを感じているから」。
だから、軟白ねぎは土寄せの代わりに黒い通気性の良いフィルムを張って白い部分を作ることで、あの柔らかさが生まれるのです。

 

「雪中軟白ねぎ」ブランド

鉄也さんが専門部長を務めるJA鶴岡長ねぎ専門部では、ハウスが雪で覆われる間「雪中軟白ねぎ」と名付けて出荷しています。
高品質を維持するため、軟白ねぎの栽培方法は細かく決め、くらかけ(土掛け)の高さやねぎを支えるための紐を張る高さ、フィルムを張る時期など専門部全体で規格をそろえるための努力を惜しみません。
また鉄也さんを含めた役員が検査員となり、出荷用に梱包されたねぎの箱を一つ一つ開けて厳しい基準で出荷しています。
すべては「雪中軟白ねぎ」のブランド力を高めるため。
その徹底ぶりに頭が下がる思いでした。


12月から2月にかけて出荷するねぎは関東圏でしか作られておらず、この時期に軟白ねぎを生産することは大きな強みです。価格がいいこともあって15人からスタートした部会は今や73名になりました。関東圏から生産量拡大の要望があるため、今後、生産者を増やしていくことが目標です。
 
(写真は軟白ねぎの根元。西郷地区の砂地は辛みの少ないねぎに育みます。ねぎの葉は次々と萎れて新しい葉を出していきます。枯れていても問題ないそうです。)

ねぎの甘みを引き出すために大切な雪ですが、やはりままならないこともあります。
「あれは大変だったなや」鉄也さんは4-5年前を振り返ります。
鉄也さんが軟白ねぎのPRで東京に出かけている時のこと、奥様から「大雪でハウスが潰れそうだから早く戻って来て」と連絡を受けます。
急には帰られず、夕方、家に戻ると奥様はまだ畑。慌てて背広から作業着に着替えてかけつけると、4棟のハウスのうち2棟の除雪をようやく終えた奥様と対面。
ハウスは雪の重みでしなり、明日も雪が降ればつぶれてしまうほどの積雪でした。疲れ果てた奥様と交代して、夜の9時までかかって残りの除雪したこともあるそうです。

同じ部会員だもの、同じ悩みを抱えている仲間同士少しでも解消していきたい

鉄也さんは、ねぎをまっすぐに栽培するための固定金具を考案したり、連作障害を防ぐ技術を試してみたり、よりよい軟白ねぎを収穫するための技術向上に余念がありません。
「同じ部会員だもの。同じ悩みを抱えている仲間同志、少しでも解消したい」と鉄也さんが試して好感触だった技術は部会内で共有していこうと考えています。
 
質問に丁寧に答えてくださる口ぶりやお話の内容から、生産者として専門部長として少しでも良い品質のねぎを出荷したいというまっすぐな思いと、よりよい栽培法のためになんでも新しい技術を試みる柔軟さがあって、まさに軟白ねぎのような方だと感じたのでした。


軟白ねぎ

雪に覆われたハウスで栽培された軟白ねぎは、驚く程柔らかく甘い。通常の白ねぎと違って緑色の葉もおいしくいただけます。茎が白いものほどより甘味があります。
保存にはビニール袋から出して新聞紙で包み立てて保存すると長期間鮮度が保たれます。

収穫時期

 12月1日から3月20日

買えるところ  鶴岡協同の家 こぴあ 
TEL 0235-25-5005
  
ヤマザワ 鶴岡店 
TEL 0235-29-7733
 
※収穫時期でも取り扱い商品がない場合もあるのでご了承ください。

おすすめの食べ方

鉄也さんのおすすめはねぎを5センチくらいに切って電子レンジで温め、塩コショウしたもの。簡単だけどねぎの旨みがわかります。いつもは脇役のねぎをぜひメインとして召し上がれ。天ぷらも絶品です。味付けは塩で。
 
 



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