鶴岡の食文化を紡ぐ人々

No.029 〜庄内おばこサワラ〜
 
庄内おばこサワラ漁師 鈴木剛太さん(温海地区)

庄内屈指のブランド魚「庄内おばこサワラ」

サワラは魚へんに春と書き、「春を告げる魚」とも呼ばれていますが、ここ近年庄内浜では秋に脂のたっぷり乗ったサワラの漁獲量が増えています。獲れて直ぐに、このサワラを船上で活〆し、一尾一尾大切に扱う「庄内おばこサワラ」の漁を行っている鈴木剛太さんにお話を伺いました。

 鈴木さんは、子どもの頃から海と釣りが好きでいつか漁師になりたいと思っていました。18歳で底引き網魚船の乗組員になり、20歳のときに静岡県へ、はえ縄漁の修業に行き、21歳で地元に戻り、知り合いが乗らなくなった船を譲ってもらい独立しました。その後、24歳のときに今の剛雄丸を購入しました。
 
 鈴木さんにとって、漁師としての職業は自分が初代となるため、全くわからず、見よう見まねで毎日が勉強だったと言います。そして、自然と生き物が相手なので、難しいことも沢山あっといいます。それでも好きな海へ出かけて行くので、仕事が大変でもあっという間に12年目になったそうです。

「庄内おばこサワラ」の漁師として

 朝早く鈴木さんは、温海地域の米子港にある剛雄丸に一人乗り込み、一本釣りやはえ縄漁に出かけます。一年を通して、タイ、マグロ、サワラ、トラフグなどが獲れるといいます。
 サワラはそもそも暖かい地域で獲れる魚でしたが、近年ここ庄内浜でも獲れる量が増えてきました。そこで、平成22年に漁業者13名で「庄内おばこサワラ推進協議会」を発足し、このサワラのブランド化を目指しました。
 一般的に鮮度が落ちやすいと言われているサワラですが、「庄内おばこサワラ」は、海で獲れてすぐに船上で活〆、神経を抜くことで、賞味期限を長くしているところが最大の特徴です。 漁獲されたサワラは2〜3日目はとれたての鮮度を維持し、4〜5日目には脂がのるほどになり、6〜7日目まで美味しく食べられるのです。
 
 
 

 

 


 時化で漁がお休みの日に、鈴木さんの船を見せてもらいました。上の写真の左側がサワラ漁用の糸、針です。一つの桶にある糸は1kmにもなります。10m間隔に針がつけられています。サワラは歯の力が強くて、糸を噛み切ることがあるので、針の先に直接糸を繋ぐのではなく、針と糸の間を針金で繋いで噛みきれないようにしています。右側がタイ用の糸と針です。
 魚を獲ることよりも、実は船の整備やこういった漁の準備、エサの仕込みなど、地味な作業の方がはるかに多いと鈴木さんも言います。

獲れたサワラは直ぐに、頭と尾の付け根に切り込みを入れて血抜きをします。その後、神経を抜きます。写真のように、頭に切り込みがあるのはその証拠です。〆られたサワラは専用のケースに入れられ、他のサワラとぶつからないように仕切られます。〆られた後には、このように船の名前と漁師さんの名前のシールが貼られます。


 現在は鈴木さんを含め、専門の研修を受けた17名の漁師さんだけが「庄内おばこサワラ」の名前で出荷しています。このメンバーが獲り、専門の処理を施されたサワラには、船と自分の名前のシールを貼って出荷しています。それは品質への誇りと自信であるといえるでしょう。
  
 しかし、この「庄内おばこサワラ」実は、地元ではあまり馴染みがないと鈴木さんは言います。庄内には新鮮で安価な美味しい魚がいつでも手に入るため、手を加え、ブランド化した高価なこのサワラをあえて食べる習慣がないのだそうです。しかし、築地に出荷されているこの最高級サワラがあるということを、もっと地元の人にも知って欲しいといいます。

剛雄丸と鈴木さん

庄内浜の魚をもっと地元の人に知ってもらいたい

 鈴木さんの船がある温海地域の米子港には、現在12名程のはえ縄漁をしている漁師さんがいますが、自分が一番若く、ほとんどが年配の人だといいます。 自分のような若い漁師がもっともっと増えたらいいと、3人のお子さんの父でもある鈴木さんは力強く語ってくれました。そしてこれからは、この「庄内おばこサワラ」のように、もっともっと漁師の顔が見える魚を出荷していきたいと鈴木さんは思っています。

鶴岡市立加茂水族館で

庄内おばこサワラが食べられます
鶴岡市立加茂水族館クラゲドリーム館の食堂 「沖海月」では期間限定(12月頃まで)、数量限定(一日20食)でこの庄内おばこサワラを提供しています。

庄内おばこサワラ
「庄内おばこサワラ」を炙り、霜降り、皮引きと3種類の食べ方で提供してくれます。
 



鶴岡市立加茂水族館 「城下町鶴岡 浜の台所 魚匠ダイニング 沖海月」
山形県鶴岡市今泉字大久保657ー1
tel 0235-64-8356  
時間 午前11時〜午後3時
 

 
(文・写真 俵谷敦子)



庄内おばこサワラ

庄内浜で一本釣りやはえ縄漁で獲ったサワラを船上で活〆、神経抜きにし、鮮度抜群の高級鮮魚として出荷しています。高度な技術を取得し、他産地との差別化を図ることで築地市場の高い評価を得ています。


獲れる
時期 

 10月〜12月頃

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