食文化の継承

vol.009 【平成28年8月2日体験】ばばごっつぉ座談会
 第2弾 櫛引黒川編 ~まつりごっつぉを中心に~

平成28年10月1日

各家庭で守り受け継がれている郷土食「ばばごっつぉ(ばばちゃんたちが作る料理)」。今年度、女性リポーターは、「食文化の継承」を目的に、地元のお母さん達から、各地の郷土食を教わり、その地域の食文化を聞き伝える活動「ばばごっつぉ座談会」を始めました。第2回は、500年もの伝統神事「黒川能」を今もなお、守り受け継ぐ櫛引黒川地区。

黒川地区のみなさんと参加者

カラトリの茎の皮むき

コツを掴めば包丁要らず。
お母さん達の知恵。

黒川の行事食には欠かせない「山椒」

庭先で「山椒の木」を育てる人も多いのだとか。

黒川のばばごっつぉ

(まつりごっつぉを中心に)
左下から時計回り:カラドリのクルミ和え、クルミ寒天・ささげ煮、ほうきの実の和え物、当屋豆腐、大豆ごはん、ほたてともだしのすまし汁、塩蔵菜のけんちん

食後に座談会

お母さん達から、昔の食の話を聞き取り調査。イキイキと話してくださいました。

座談会に参加して

リポーター
梅木 由紀さん
黒川地区は黒川能(王祇祭)と共に回っているように思いました。食は一年がかりで準備するそうで、とても大変だと思いましたが、黒川のばばちゃん達はごく普通に難儀とは思っていないみたいで、強い精神を感じました。黒川の行事食は豆(豆腐)を中心に、やし、山菜、くるみ、ごまなど、素材を大事に砂糖や化学調味料などはあまり使っていなかったので、私の大好きなマクロビ食に近いと思いました。
リポーター
赤部 知子さん
昨年、黒川能の行事食の講座に参加し、当屋豆腐や切りあえを初めて食べ、山椒の味付けが印象に残っていました。広い田んぼもあるがすぐ山があるので、ごまあえよりくるみあえがよく食べられ、山菜や野菜を雪が降る冬を乗り切るために上手に保存してきたこと、他ではあまり食べないにがりを倍も入れた当屋豆腐や切りあえも祭りの時に限らず、食べていることを今回初めて知りました。黒川能でのふるまい料理も、今どきの食べ物に置き換えても不思議ではないのに、伝統を守ってたくさんの豆腐を手作りし続けてきたことは、行事と行事食が一体のものだからなのだなぁと感じました。
リポーター(マイプロ部のみなさま)
ばばちゃんたちのいきいきしている顔が印象的でした。この場で、ばばちゃん達が料理の意見交換をしていたのにも驚きました。
(寺平直樹さん)

三瀬出身ですが、同じ鶴岡でもこの地域が独特の文化であると感じました。地域のお母さんたちは知恵や工夫がいっぱい!たぶん昔は手仕事ができて一人前!だったのかもしれません。
(齋藤萌さん)
今回教えて頂いたお料理は食べたことがないものもありましたが、どれも「鶴岡の味だなぁ」と思えるものばかりでした。(下ごしらえなど)作るのが大変なものは食卓に上がらなくなり、記憶からなくなってしまったりするんだよなぁ、こういうものを残すって大変だなぁと感じたことのない発見もありました。
(佐藤由久さん)
だんだんと打ち解けるにつれて 楽しくお話する事ができました。家庭によっても味付けが異なり、うちではこう!いや、うちはこっちだ と話しているのを聞いてばばごっつぉのバリエーションの多さを感じました。一つ一つ作るのにこんなに手間や愛情をかけて調理されているのをみて 感激しました。
(結城友香梨さん)
黒川の一年が黒川能を中心に動いていて、食も能を背景に伝承されていることが分かりました。伝統食を体感し、次世代へと受け継ぐための活動の必要性を感じました。今回のお料理は下ごしらえの手間がかけられたものばかり。だからこそ忙しい現代では段々食べられなくなっていくジレンマがあるのだなと感じました。
(三浦百合子さん)

今回の「ごっつぉ」の特徴

ほうきの実(別名とんぶり)
食べる前に水に戻す必要がありその作業は1週間もかかる。現在はあまり作られなくなったが、お寺(高寂寺)の春彼岸のお料理として残っているのだそう。ぷちぷち食感がくせになる。(くるみと山椒と味噌で和えたもの)
山椒の実
黒川地区の行事食には欠かせない山椒は果実の皮の部分だけを取り、すりつぶして山椒粉にする。山椒の木が自宅に植えられている家も多い。
クルミを使う料理がたくさん!
(左:カラドリのクルミ和え、右:クルミ寒天)
黒川地区周辺では、クルミがたくさん自生しているためか、クルミをつかった調理方法がたくさんある。昔からゴマ和えよりクルミ和えの方がなじみ深いようだ。
漬かり過ぎた塩蔵菜はけんちんに
昔は各家庭で漬物を漬けていた。春になり漬かり過ぎたものを塩出しして、炒め物にして残さずいただいたという。これも先人の知恵。

ばばちゃん達の食の昔話

上座と下座~振る舞い料理でも競い合い?
黒川能は上座と下座に分かれているが、振る舞い料理も味付けが異なる。各座の当屋は能の舞だけではなく、そんなの味付けの違いも競い合っていたのかもしれない。
保存食のための手仕事
長い冬をのり越えるための保存食作りはかかせない。青菜、ユリ根、もだし、キュウリ、茄子などは塩蔵するという。今はスーパーがあり、すぐに使える野菜がどの季節でも売られているが、昔は、そうではなかったため、この保存食作りがとても重要だった。
大黒様も凍み豆腐
12/9の大黒様のお歳夜。各家庭で異なるが、この地区ではやはり「豆腐・あぶらげ」ではなく、「凍み豆腐」に味噌をつけてお供えするのだとか。
ほうきの実はいまや贅沢料理
昔は各家庭で掃除用の箒も手作りしていたため、箒を自家栽培していた家庭もあった。枝から落としてしまう実の部分は食用にしていた。今はほとんど作らないが、お寺の春彼岸の料理として残っている。食べるまでに1週間。手間がかかるものがなくなってしまうことが少し寂しい。
取材のお礼
今回座談会開催にあたり、ご協力くださいました、黒川能の里の会の皆様、地域のお母さん、ありがとうございました。

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